「生活クラブ」
1965年に結成され、1968年に「生活クラブ生協」として創立された、生活協同組合の一つです。
他の生協と大きく違うのは 食の安全に徹底的にこだわっている ということ。
そのこだわりっぷりは多岐にわたり、他では類をみないほどです。購入するためには出資金として毎月1,000円を積立てなければなりませんが、その分「味・質」共に一級品なものが多いので、出資する価値を十二分に感じられること間違いなしです!
(※注 出資金は積立金なので、最後にはちゃんと返ってきます)
こだわりの一部を抜粋
- 国産品にこだわり、国内自給率のアップを目指す
- 添加物・遺伝子組替え作物など安全性が疑わしいものは使わない
- やむを得ず使用する場合は、必ず情報を公開する
- 放射能汚染の自主基準値の設定
- 合成洗剤・ダイオキシンなどの有害物質の削減への取り組み
今回はそんな生活クラブが主催する組合員向けのツアー「はじめての牧場見学」に参加してきましたので、その様子をお届けします。
テーマは「牛乳」!
実際に生乳を生産する「牧場」を見学後、牛乳などの製品へ加工し出荷する「工場」を見学する流れです。生産から製造までの様子を一貫して学ぶことができたこの企画。生活クラブが取り組んでいる”食”へのこだわりについて、とても理解を深めることができました。
まずは生活クラブの契約牧場の一つ”八紘学園”の牛舎を見学!
注意
2020年7月末をもって、八紘学園から生活クラブへの生乳の提供は終了しています。
集合場所の札幌駅北口からバスで最初に向かったのは、札幌市にある農業専門学校「学校法人 八紘学園」。畜産(酪農、肉牛)、農業機械、花き、果樹、野菜の5つの分野を学ぶことができる、全寮制の専門学校です。
”はじめての牧場見学”では、この八紘学園の牛舎を見学させていただきました。
八紘学園で生産される生乳は、生活クラブの基準を満たす貴重な生乳の一つ。冒頭でもご紹介したとおり「遺伝子組換えのものは使わない」をモットーとしているため、牛に与える飼料も遺伝子組換えのものはNGなのです。
これに賛同し、遺伝子組換えをしていない飼料「NON-GM」で牛を飼育している、(北海道地区については)札幌とその近郊にある10戸(8戸へ減少)の牧場から出荷される生乳のみを使い、生活クラブの牛乳は作られています。
牛舎の中は解放感があり、とてもキレイ!
特有の糞尿の臭いは全くと言っていいほど感じません。
この環境を維持し続けることで牛のストレスを極力無くす。
これも美味しい牛乳を作るための取組みの一環です。
牛の鼻筋を撫でてみたり、牧草を口元によせてあげたり。
牛たちとふれ合いながら牛舎の中を自由に回ります。
生活クラブ主催の牧場見学自体はもう何度も開催されているため、牛たちも慣れた様子。終始リラックスした様な表情で、また逆に向こうから近寄ってくる牛も多かったくらいでした。
天井の四角い穴から突然落ちてきたのは牧草。
不思議に思って聞いてみたところ、特別に2階に上がらせていただけることに。
なんと2階は牧草ロールの貯蔵庫でした。そしてこの貯蔵庫の中にある何十もの牧草ロール。全て八紘学園の敷地内で生産された牧草ロールなのだそうです!自前でエサまで生産しているのですもの、そりゃ安全性に疑わしさは感じられませんよね。
学生さん達の実習の場であり、普段一般の方が立ち入ることができない八紘学園の牛舎の中。こんなに色々と見せていただくことができ、本当に良い体験となりました。
八紘学園といえば「ソフトクリーム」が有名ですよね!
毎年夏になると、必ずと言っていいほど大行列ができる人気商品です。
牛舎見学の後は、ソフトクリームの販売をしている”農産物直売所”で小休止。少ない休憩時間の合間を縫ってソフトクリームをいただきましたが、コクが強くさっぱりとキレのよい口どけです。生産現場を見学した後だからか、より美味しく感じられました!
次はサツラク農協の”ミルク館”で乳製品の製造工程を見学!
八紘学園では生乳の生産現場を見学しましたが、次は生乳を加工し商品を製造する工場を見学します。
バスが向かったのは「サッポロさとらんど」。
さとらんどは、札幌市にある「農業体験交流施設」。74.3ヘクタールもの広大な土地の中には、花畑や農園、パークゴルフ場、ヤギやヒツジのいるふれあい牧場などがあり、自然や農業とふれ合うことのできるテーマパークとなっています。
また「サッポロさとらんど」に隣接しているのが「サツラク ミルクの郷」。
「サツラク農業協同組合」が運営する施設で、牧場の雰囲気を体験することのできる「牛の館」や、バターの製造工程の見学などをすることができる「まきば館」などがあります。
今回のツアーでは、この”ミルクの郷”の中にある「ミルク館」を見学しました。
ミルク館は”牛乳”やヨーグルトなどの”乳製品”を製造するサツラクの工場。(北海道地区の)生活クラブの牛乳も、この工場で作られています。
ミルク館の一部は一般開放されており、実際に商品が製造される「製造ライン」や、安全な牛乳を製造するための「検査システム」などを自由に見学することができます。
なお製造ラインなどは撮影禁止だったので、ここでは詳細までご紹介することはできません。なので興味のある方は訪問し、実際に体験してみて下さい。なお予約は不要で料金はなんと無料!その他詳細は以下をご確認下さい。
サツラク ミルク館 工場見学詳細
- 見学期間 4月27日~11月3日(年により変動あり)
- 見学時間 9:30~16:00(上記期間中・土日祝を含む毎日)
- 見学方法 上記時間帯で自由に見学
- 案内対応 3週間前までに予約が必要(平日のみ、10名以上、時間限定)
- その他 http://www.satsuraku.com/sato/annai.html より確認
生乳そのものの違いもさることながら、生活クラブの牛乳と一般的な牛乳の違いは、生乳の殺菌方法にありました。
スーパーに出回っている一般的な牛乳の場合、120℃以上で1~2秒加熱する「高温殺菌」で処理されてます。それに対し生活クラブの牛乳は「低温殺菌」牛乳。65℃の低温で加熱時間はなんと30分!殺菌に時間がかかるため大量生産はできませんが、牛乳に含まれるタンパク質の変性が少なく、より生乳本来の風味に近いものとなるそうです。
生活クラブの牛乳を加熱したもの
一般的な牛乳を加熱したもの
低温殺菌牛乳はタンパク質の変性が少ない。
これを検証するために、高温殺菌、低温殺菌のそれぞれの牛乳を加熱。するとその結果は一目瞭然でした。低温殺菌牛乳にはたくさんの固まりが見られたのに対し、高温殺菌牛乳はサラッとしたまま。ここまで見た目の違いがでるなんて驚きです!
”はじめての牧場見学”を終えて
サツラクのソフトクリームもハイレベル
いかがでしたでしょうか?
今回のツアーでは「八紘学園」「サツラク ミルクの郷 ミルク館」の2ヶ所を見学。生活クラブで販売される牛乳には、大きく分けて以下の特徴があることが分かりました。
- 遺伝子組換えをしていない飼料「NON-GM」を与えた牛の生乳を使用
- 65℃で30分の低温殺菌を施し、生乳本来の栄養や風味を維持
逆を言えば、普段手に取る牛乳には「遺伝子組換え飼料を与えた牛の生乳で、高温殺菌を施し製造された牛乳」が多いということなのでしょう。
飲んだからと言ってただちに健康への影響がある訳ではないのでしょうが、その可能性は未知数。食の安全に気を使う方であれば、今回の記事に興味を持っていただけたのではないかと思います。
生活クラブの取組みを通じて、食に対する安全を再認識することができたこのツアー。きっとまた開催されると思いますので…
生活クラブの組合員になる機会があれば、ぜひ参加してみて下さい!
【参考】生活クラブの食材を取り入れているお店
石狩市/カフェヴァンクラシック
たっぷりと使っているのは自家栽培の野菜。生活クラブの調味料で味付けした、体に優しい料理をいただくことができます。
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